プロローグ 田辺尚
————きみの顔をみるのはいつになるだろうか
感電死を夢見てから何分たった?
深夜にも叩いているキーボードだが
ふりかえってみれば
はじまりはまだほんのり濡れて
はねかえった髪先にかすったぐらいだったのかもしれない
こぼれず溶けていく夜明けにフルスイング
夢の遠心力
夢の影も
夢の重力もふりきって
しずかにふくらんでいく町へ
ゲンカイをまた折り紙にして飛ばすような
縦横が夢精した世界
光の、
まぶたの
むこう
川へ
(————オレ、オレ、俺たちの死んだあとは!)
落ち合うための流れにむかって
とがった指先からとぶよ
舞台裏などはない
眩しい朝日でひたひたになる
マブタノムコウガワヘ
光のダムへ!
きみと感電詩
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