photo by 藤田和美

Introduction
詩を詠う、インターネットを舞台に、イメージするのは渋谷交差点。
絶え間なく行き交い続けるわたしとあなたとだれかの、その微かな共有空間はけれども確かな想像の一歩となってゆく。
十の詩人が織り成す巡り合わせのポエトリーリーディング企画。

 

点模様   小林青ヰ

 

 

きょうとあしたの ちがいを話そう

ハンバーグ おいしかったとか

廻らないお寿司 たべるとか

きょうとあしたの ちがいを話そう

 

(いつも歩く道ですれ違う誰かのあっけない一瞬がせつなくなったらいいな)

 

黄色い帽子のかわいさとか

タイトスカートの魅力とか

きょうあって あしたある話をしよう

 

(いつも歩く道ですれ違う誰かの手をわざと触れるかすかなさみしみ)

 

「ねむっているだけであしたがきちゃった……」

 

表面張力でなんとかなってたコップの水がこぼれてしまってそれが渋谷に降り注いでは人々の肌を湿らせているなんて話をしたきょう、あしたは冷え込んだアスファルトの原材料がオレオなんだと言いたい、違いを憶えながらすぎてゆくいまがきのうになってゆく、知らない人の、手を触れるようなさみしみに溺れてゆく水平線が、目元まで来ていることでひどくわたしはねむたいのだけど。

 

マンゴーフラペチーノ、グランデ

冷たすぎたとか

チャイ、シナモン追加マシマシとか

ひどく冷めた指先を想いながら

在ることとあり得ることの 話をしよう

 

 

 

 

 

Author profile
小林青ヰ

東京都出身、1987年生まれ。フランス在住、ちゅうぶらりん。世の中の「面白い」は出来得る限り堪能しておきたい、言って下手な生き方しかできてない人。

TwitterID: @hirutalktwitter

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