京都駅から少し離れて
店のまわりを見渡すと、今日が五月晴れだからか、それとも【Sol.】が太陽を意味する言葉と知ってのことか、日向ぼっこしている猫たちが無防備な姿でのんべんだらりとしている。そんな穏やかな日常の濃密さが、この地域にはある。
さっそく民家を改装した店内に入ってみると、どこからでも店内を見通せるつくりとなっている。入って右手の壁には、映画の企画やイベントのチラシが貼られており、また反対側の壁は、一面の本で彩られている。そう、ここはBookCafeなのだ。
さっそく民家を改装した店内に入ってみると、どこからでも店内を見通せるつくりとなっている。入って右手の壁には、映画の企画やイベントのチラシが貼られており、また反対側の壁は、一面の本で彩られている。そう、ここはBookCafeなのだ。
オーナーと【Sol.】の誕生
本棚における楽しみといえば、人の趣味嗜好を知るところにある。しかも、これほど多くの本となると、もはやその人の頭の中を覗いている気分になってしまう。そんな頭の中を覗かれようとしているのが、Books×Coffee【Sol.】のオーナーの桜井淳さんである。
桜井さんにお店を始めた動機について尋ねてみると、「いろんな人たちが気軽に集まれて、何時間でもいられる場所を作りたかった」と話してくれた。また、桜井さんは高校生の頃、少し背伸びをして、いわゆる大人たちの集まる喫茶店に足しげく通っていたのだという。そして、そんな大人たちに囲まれて、喫茶店で育ってきた旨を話してくれた。その後、桜井さんは中学校の国語教師になったが、国語という言葉に関する仕事に長年携わる一方で、言葉では表現しきれない、喫茶店のもつ面白さに魅入られた経験から、自らお店を始めることにしたという。
お店を始めるにあたり京都市内の物件を物色しているなかで、老夫婦が長く暮らしていた民家に着目し、ブックカフェとなるように建築士の上村さんや大工の林さんを中心に改装を施して【Sol.】は誕生した。柱や天井は民家であった頃の面影を残しつつも、天井部分に小型の照明を複数取り付けることで、灯りがまんべんなく行き届く造りになっている。
桜井さんにお店を始めた動機について尋ねてみると、「いろんな人たちが気軽に集まれて、何時間でもいられる場所を作りたかった」と話してくれた。また、桜井さんは高校生の頃、少し背伸びをして、いわゆる大人たちの集まる喫茶店に足しげく通っていたのだという。そして、そんな大人たちに囲まれて、喫茶店で育ってきた旨を話してくれた。その後、桜井さんは中学校の国語教師になったが、国語という言葉に関する仕事に長年携わる一方で、言葉では表現しきれない、喫茶店のもつ面白さに魅入られた経験から、自らお店を始めることにしたという。
お店を始めるにあたり京都市内の物件を物色しているなかで、老夫婦が長く暮らしていた民家に着目し、ブックカフェとなるように建築士の上村さんや大工の林さんを中心に改装を施して【Sol.】は誕生した。柱や天井は民家であった頃の面影を残しつつも、天井部分に小型の照明を複数取り付けることで、灯りがまんべんなく行き届く造りになっている。
店長と【Sol.】の魅力
そんな【Sol.】の魅力の一つに、一人でも居座れる敷居の低さがある。その魅力に気づいてか、年齢もバラバラな多様な人たちがこの店に一人でやってくる。実際、取材後に店内でくつろいでいると、学生が勉強をしに、かたやおじいさんが晩酌をしに、おばあさんが茶話をしに、各々訪ねてきた。そのような多様さもあって、桜井さんとともにお店を始めた店長の梁説(やんそる)さんは、「ここがお客さんたちの新たな出会いの場になってくれたら」と話してくれた。お祭り好きで明るい性格の梁さんは、隔週水曜日には映画の上映会を、そして不定期で読書会を開催している。これらは気を張らずに飲み食いをしながら、一人でも気軽に参加できる「場」となっている。また二階はレンタルスペースになっており、多目的な利用が可能となっている。それでは二階を見てみようと、実際に靴を脱いで二階にあがろうとしたら、階段付近に恐竜のぬいぐるみが待ち構えていた。なかなかの強面とは裏腹に、子どもたちのアイドルとなっているそうだ。
【Sol.】の灯りに誘われて
二人の話を聞いて、筆者はあらためてこのお店の「場」について考えてみた。ここに訪れる客同士はみな他人だ。けれども不思議なことに、ここでは何か穏やかな感情を客同士が共有しているかのように思えてしまう。東九条という地域がそう思わせてしまうのか。もしくは、桜井さんと梁さんの人柄がそう思わせてしまうのか。この疑問に対する答えを、筆者はみつけることができなかった。それでも、一ついえるとすれば【Sol.】で過ごした時間は、家の勝手口から入ったときに似た、どこか懐かしい日常にあるのだと思う。