結末とは別のところへ 滝口悠生/幸せ一郎さんインタビュー
整えようとするとはみ出してしまうもの、
不確かさの中でこそ鮮やかに立ち上がる音や風景や手応え、
書き手の言葉を辿る時、しばしば呼び起こされるのは、そうしたものの感触だ。
『寝相』、『愛と人生』、『死んでいない者』の作者、滝口悠生。
そして、この度はもう一人、小説家の横に座っている人物が。
「俺の余暇のために書いてくれていると思っていた」と呟くのは
ミュージシャンでカレー愛好家の、幸せ一郎。
十代で滝口悠生と出会い、デビュー以前から滝口作品を読み続けてきた。
にぎわう週末の居酒屋で、たゆたう二つの声は小説家の過去と現在を巡る。