かつて金鉱で栄えたこの街の、過去に飛んでみる。
山麓から鉱山へと続く石段を、昇っては降りて。
初めに金を掘り出したのは、何という名の鉱員だったか。
やがて採掘量の降下とともに鉱山は閉山を迎え、
街には猫と子どもと老人と空き家だけが残った。
これは「九份」の山間に佇む、古風な茶坊の物語。
むかし、鉱長の屋敷であった、静かな茶坊の物語である。
让我们去看看曾经由于金矿而繁荣的这座城市。
从山麓到矿山的石阶,爬上又爬下的。
想着那第一位挖出金的矿工是叫什么名字的呢。
然而由于开采量的下降,迎来了矿山的关闭,
街上剩下的只有猫,孩子,老人和没人住的屋子。
这是静静得立在“九份”之山间的一个古式茶坊的故事。
曾是矿长的宅院,现成为了宁静茶坊的故事。
農夫と画家
农夫和画家
ひとりの画家が「九份」に茶坊を開いた。
彼の名前は洪志勝/Hung Chi-Sheng
1962年、彰化に生を受けた画家である。
「大きくなったら…」子供の頃の夢はふたつ、
ひとつは農夫になること、もうひとつは画家になることだった。
彼は農夫にはならなかったが、彼は芸術においても創作とは
農夫が水草を求めて、歩く牛を引くのと同じであると考えている。
(『九份茶坊』公式パンフレットより)
老人から子どもまで、その土地に残った者たちの声。
そのひとつひとつを「牛を引く」ように集めたあとで、
【九份茶坊】の創設へと向かった。
街に残された、最古の屋敷を買い取って、
景観をみださぬよう、古くからの趣はそのままに。
開設後、彼の創った茶芸の空間には、
たくさんの人々が寄り集まったという。
一个画家在“九份”打开了一家茶坊。
他的名字是洪志胜/ Hung Chi – Sheng
是一位1962年出身在彰化的画家。
兒時「我的志願」
一是當農夫;另一個是畫家
農夫沒當成
但也像農夫趕牛,為藝術創作逐水草而行
(『九份茶坊』官方宣传册)
在开茶坊前,他走遍了“九份”,听遍了那里的声音。
从老人到孩子,在那个土地留下的声音。
当他收集完那一个个声音之后,
开始了“九份茶坊”的第一章。
他买下了被留下的房子里最古老的那间,
为了不破坏景观,保持了所有自古以来的氛围。
开门后,他创作的茶艺空间,
聚集了很多人们。
「茶・陶・画」
「茶・陶・画」
天空の街に茶坊ができた、その噂は瞬く間に国中に伝わり、
彼の夢もまた、季節とともに現実となっていった。
九份茶坊に集まる人は増え、芸術活動もどんどん活発になっていった。絵を描き、茶芸館を軌道にのせ、陶の創作にも着手した。
そして陶工坊を創立した。続いて、夢だった「天空の城」を開店した。更に、九份芸術館を創立した。ここに人々が集い、文化、芸術の交流ステーションとなり、アイデアを語り合い、互いに支え合い、ここ九份で新しい命を創造する。(『九份茶坊』公式パンフレットより)
「陶工坊」で捏ねた土を焼き上げる。
そして【九份茶坊】で心と身体を温める。
「茶・陶・画」、のれんに描かれた3色の漢字は、
彼の夢そのものだったのかもしれない。
緑・赤・青。それぞれの空間を行き来しながら、
人知れず、画材を持って、茶坊の外へ。
「九份」の自然を前に、絵筆を取って。
その時、彼は虹と親しむ画家に化ける。
天空之城里新开了家茶坊,这谣言一瞬之间传遍了全国各地,
他的梦想也伴随着季节而结了果。
九份茶坊的人文藝術生命更加蓬勃
一直在畫,续是茶,再玩陶,於焉創立陶工坊
繼而實現夢想的「天空之城」,環有九份藝術館
讓人文可以薈萃藝術可以交流
在九份有一處創作生命可以相互取暖
情感可以互動的平台(『九份茶坊』官方宣传册)
“陶人坊”里烧着和制好的土。
然后在【九份茶坊】哪儿温暖心身。
“茶・陶・画”,这仅仅的3个字里,
也许他梦想的所有要素吧。
绿•红•青。在各个空间之中,
无人知晓着,拿着画材,来到了茶坊外面。
观望着“九份”的自然,拿起了画笔。
那间,他忽然成为了和彩虹和最亲近的画家了。
猫と創作家
猫和创作家
鳴くことも去ることもなく、
永遠に一点を見つめている。
すべての色合いが別々なのだと気付いた。
造り手の名前は吉村みどり/Yoshimura Midori
2000年に滋賀から「九份」へと移り住んだ
陶や銅を素材としたオブジェの創作家。
そして、今回の物語の語り手でもある。
この建物にしても、昔から残っているものって本物が多い気がします。ですので、要らないモノは取る。基本的にモノは足さないというのが店内のコンセプトですね。構造的に致し方ない場合でも、何かあれば、それを解決するために工夫をして、同時に機能を持たせるというのが好きなんです。(九份茶坊:吉村みどりさん)
語り手の話と【九份茶坊】の内観。
その調和を見聞きしながら、別の世界のことを想った。
もし、あの『猫』がこの茶坊に忍び込んだとしたら。
1905年、東京の小説家によって描き出された
あの主人公が、いまここに現れたとしたら、
彼はどこに目を向けて、何を考えたのかと。
它们不出声,不咬人,也不离走,
永远地凝视着一点。
重新审视了它们的身影,
才发现它们的颜色都是不同的。
制作者是吉村みどり/ Yoshimura Midori
2000年从滋贺移住到了“九份”
她是位用陶和铜作材的创作家。
也是这次故事的叙述者。
包括这家房子,自古至今的东西我想很多都是真东西。所以,不需要的东西就取掉。店内的布置是以基本上不添东西而形成。结构上的情况之下,如果有什么不得已,也会想办法让它同时可以起什么功能。这点我很喜欢(九份茶坊:吉村みどり)
我看着听着这些和谐的同时,想起了另一个世界。
假如,那只『猫』潜入了这个茶坊。
1905年,东京的那位小说家描述出的
那个主人公,如今如果就在这里出现了,
他会看到些什么,又会想些什么呢。
九份と茶坊の物語
九份和茶坊的故事
その上に火鉢を置いて、お湯が沸いたら急須へ。
気付けば、また語り手にお茶を注いでもらっている。
急須から陶の茶碗へ。これで何煎目だろう。
お茶って時間がゆっくり流れるんですよね。1回の茶葉で、最低でも7、8煎は入るので。その時間の中で、普段しゃべらないことをしゃべったり、考えもしなかったことを考えたり。茶器のセットがひとつあるだけで、そんな時間が持てる、そんな生活が送れるということは、これからも提案していきたいと思います。
いつしか時間を忘れてしまった。
日常から離れたまま、時計の針を巻き戻す。
「九份」で、初めに金を掘り出した鉱員。
彼/彼女はどこからやってきたのか。
黄金の記憶を、どんな場所で、誰に話したのか。
残念ながら、ここで物語は終わっている。
ただ、聴き終わったあとも想像は残った。
これはひとりの創作家による「九份」の物語。
あるいは、茶芸を愛した【九份茶坊】の物語である。
続きはまた、未来の誰かが聴く/語るだろう。
(1996年、『猫』を上海に飛ばした、あの小説家のように)
そして、それはわたし/あなたかもしれない。
上面放着火盆,热水沸腾后倒入小茶壶里。
才注意到,叙述者又在哪儿泡茶了。
从茶壶到陶制茶碗。这已经是第几壶了。
茶带来的时间真的很慢。茶叶一次最少可以沏7,8回。在这个时间里,说说平时不想说的话,想想没考虑过的事。只要有一套茶具,就能拥有这样的时间,能过这样的生活,这些都是我今后继续会提倡的。
她和茶坊的故事。听着听着
不知不得的忘记时间。
离开着日常生活,让我们把钟的指针倒转。
在“九份”第一个挖到金的那位。
他/她是从哪里来的?
又在什么地方,向谁说了那些黄金记忆?
很可惜,故事在这结束了。
只是,听完后不停得想象。
这是一个创作家的“九份”故事。
或者说,是爱茶艺的【九份茶坊】的故事。
接下来还会有将来的某人继续听/说的吧。
(就像1996年、那位把“猫” 放飞去了上海的小说家一样)
那可能是我/你也说不定。