畑を使わせてくれ
―ふだんから運動は日常的に?
木下さん(以下、K) はい。ウエイトトレーニングが好きなので、週に3、4回はしないと気がすまない。手間を削って、睡眠時間を削ってという感じですかね。
―学生時からトレーニングはされてきたのでしょうか?
K そうですね。もともとトレーニングが大好きで、様々なスポーツをやってきた中で、ウエイトトレーニングに一番ハマったというか。20歳ごろですかね。
―これだと思った。
K 様々なスポーツの底辺でもあるので。20歳ごろから週に最低3日ぐらいのペースで始めて。24歳ぐらいからは、週に4日や5日。一番やっていた時は週に6日(笑) まあだいたい週に4日から6日のトレーニングを今も続けています。
―具体的にはどんなスポーツを?
K 中学、高校は部活でバスケットをやっていましたが、並行して柔道や空手もやっていて。他にもゴルフの打ちっぱなしとか、水上バイクとか。テニスや卓球、バドミントンなんかは全部自分用の道具を揃えてやっていましたね。
―球技から格闘技まで。
K でも、このジムをやりだしてからは、ほとんど止めてしまいました。教えてもらっていた方に頭を下げて。「ジムを興すので、しばらく休ませてほしい」と。
―ジムを興された時期は?
K 1997年の4月からなので、自分が28歳の時ですね。今年で19年目、来年で20年目になるので、それまでに床を張り替えたり、機械を買い足せたら良いなと。会員の方の意見を聞きながらですが。
―19年間はずっと、加古川
で?
K はい。私自身が加古川に生まれてから、一度も外に出てないんですよ。親ともずっと一緒に住んでいますし。ジムの裏が家なんですけど、ある日親に「ジムを興したいから、家の前の畑を使わせてくれ」と。
―頼み込んだ。
K できるだけジムを広くしたいと考えていたので、土地代や設備への投資を考えたら、ここしかなかったですね。
―ひとつひとつの機器も高価そうですが。
K いや、そうでもないです。日本人の体型でも扱える器具で、なおかつ場所を取らず動きの良いものとなると、やはり国産になります。海外の大きくて、立派な機械と比べると、値段も半分程度ですし。まあ、あちこちのメーカーさんに聞いたり、実際に触って選んだりはしましたが。
―なるほど。立ち上げまでの経緯も聴きたいのですが、なぜトレーニングジムを立ち上げようと思ったのでしょう?
K もともと自分もジムに通う側だったんですけど、サポートの体制について、通っていたジムに限界を感じた瞬間があって。経営する方々の本業が忙しかったというのが一番の理由だと思いますが、それなら、自分の思う機械や空間でトレーニングをしたい、トレーニングを教えたいと思うようになって。
―通われていたジムもメインはボディビル
だったのでしょうか?
K はい。その経営者の方がボディビルのコンテストに出られているような方だったので、どちらかというとボディビル志向の強い個人ジムでしたね。
―木下さんご自身もボディビルを?
K 私自身カラダづくりのボディビルはしてきましたが、ボディビルの大会には出たことが無いんですよ。若いころにステージに立つことを考えた時期もありましたが、結局は機会を逃してしまいました。ただ、ボディビルビルダーではなくてもボディビルへのリスペクトや理解はあったので、頑張っている人をサポートしたい、そんなジムを作りたいという気持ちはありましたね。
あと、ボディビルって狭く見ると、ものすごいマニアックに見えるかもしれませんが、広く見ると「カラダづくり」というか、様々な競技に通じるものだと思います。スポーツの底辺というか。それをもっと多くの人にわかってほしかったというのもジムを興したきっかけのひとつですね。
あと、ボディビルって狭く見ると、ものすごいマニアックに見えるかもしれませんが、広く見ると「カラダづくり」というか、様々な競技に通じるものだと思います。スポーツの底辺というか。それをもっと多くの人にわかってほしかったというのもジムを興したきっかけのひとつですね。
―総合的なカラダのトレーニングというか。
K そうですね。なので、これは立ち上げ当初からそうですが、ボディビルの方を優遇したり、優先したりっていうのはまったくありません。多くの方がトレーニングを通じて、健康になってくれたり、ウエイトトレーニングの良さをわかってくれたり。一方で、ハードなトレーニングを望む方の要望も叶えてあげたいので、フリーウエイトや重たいダンベルも置いてますね。
―利用者の層はどんな方が多いのでしょう?
K 比較的、熱心な方が多いと思います。ダイエット、カラダづくりにおいて、フィットネスクラブや市の施設では満足されずに「より良い機材を求めて、重たい重量でハードなトレーニングをしたい」という方々ですね。広島、岡山とかからも「地元では、できないトレーニングをしたい」という方々がビジターでいらっしゃったり。あと、私が競技の審査をやっているということもあって「本格的にポーズを見てほしい」という依頼もありますね。
―マックスジムの機材、木下さんというトレーナーを求めて。
K 「たまにはよその刺激を」という面もあるのかなと。あとは価格設定の問題もあると思います。ホームページにも載せてますけど、ウチは年間で¥48000、月にしたら¥4000です。ふたり同時に入ったら、年間ひとり¥36000なんで、ひと月¥3000ぐらいで通えます。
―カップルでも。
K カップルとか、友達同士とか。「一緒に行こうや」みたいな感じで。ジムとしてたくさんの方にトレーニングをやってもらいたいっていうのと、わたし自身が常時ここにいて完璧な指導ができるという体制でもないので、価格設定は少しでも抑えて還元できたらなと。
―木下さんの他にトレーナーは?
K 妻もダイエット指導や、健康管理のアドバイス、トレーニングの指導をしてくれていますね。
―奥様もボディビルを?
K ボディビルはやっていないです。でも、トレーニング歴は長いので、健康管理とかダイエット目的の方への対応は十分行えます。なので、全般的なトレーニングについては彼女に対応してもらって、本格的なカラダづくりや、スポーツ補強等の指導を求められる方には予約を入れていただいて、私が指導をするという流れですね。
―19年間のこだわりというか、マックスジムが心がけてきたことなどは?
K 自分が持っているすべての知識をしっかりと伝えていきたいですね。食事の指導もトレーニングの方法も。ついつい話が長くなってしまうんですが…
―食事の指導ですか?
K それぞれの状態にもよりますが、例えば私の考え方としては、ダイエットの時に長期間、炭水化物を抜くのは良くないと思います。タンパク質も大事ですけど、油も大事ですし、炭水化物も大事なので、その人の取らないといけない量を見極めながら、その中で最低限のタンパク質をまめに摂ることを勧めたりしていますね。
―偏見かもしれませんが、ボディビルダーの方が大量の生卵や鶏肉のささみを摂取している姿を以前にテレビで見かけたのですが。
K どうなんでしょうね。基本はバランスの良い食事の中で、少し高タンパクを心がけるべきだと思います。というのは、まずジムでは鍛えたい箇所に以前のトレーニングよりも少し大きな負荷を与えて、筋肉に傷を付けます。それを栄養によって以前よりも太く甦らせることを超回復というんですけど、その時に栄養がないと超回復
に至らないんですね。―超回復に至らないと…
K 以前よりも細くなってしまうか、以前が100であれば100に戻って終わってしまうんです。なので、朝から晩までできるだけマメに最低限の炭水化物と脂質と必要なタンパク質を摂っておくというのが栄養摂取の基本になりますね。
筋肉はやっぱり生き物なので、傷ついていれば常に回復したがってるんですけど、栄養がある状態、タンパク質、アミノ酸が血中にあると回復しやすいんですよ。その観点からも本当は1日に3食、4食よりも6食、7食、8食の方が回復しやすいんです。
筋肉はやっぱり生き物なので、傷ついていれば常に回復したがってるんですけど、栄養がある状態、タンパク質、アミノ酸が血中にあると回復しやすいんですよ。その観点からも本当は1日に3食、4食よりも6食、7食、8食の方が回復しやすいんです。
―それはボディビルダーに限らず。
K はい。なので、それを1日1食とか2食でまかなおうとすると、その時に一気に大量のカロリーを摂取することになるので、余ったところが脂肪になりやすいし、足りないところで回復できない。例えば、1日で3000カロリーの摂取が必要な人が、朝食だけで3000カロリーを摂ってしまうと、余った部分が動いていないところの脂肪になったり、逆に夜寝る前のところで栄養不足になってしまい、タンパク質が足りずに筋肉が超回復しにくいという現象が起こります。
―足りない場合は、寝る前にタンパク質を摂ることも大切だと。
K 寝る前にも摂ったほうがいいですね。まあ、その人が筋肉をつけるのか、ダイエットをするのか、どちらを優先したい時期なのかによって、メニューは変わってくるんですけど。例えば、ダイエットを中心にやっている時期は、寝る前に食べ過ぎるのはあんまりよくないですね。
―なるほど。今のように手を抜かずに、ひとりひとりにしっかりと説明を。
K 他のジムでうまくカラダを作れなかった方、フィットネスクラブでダイエットが成功しなかった方。会員さんの中にはそんな方が多いので、正しいトレーニング、正しいダイエット、正しいジムライフを伝えていきたいという想いはずっとありますね。
次ページ「理想の審査/肉体」