現代の気になる作家について
―最近の作家で好きな方はおられますか。
O さきほどと重なりますが笙野頼子さんや町田康さんや金井美恵子さんですね。もっと世代が若い人で言えば滝口悠生さん。本当にすごいですよね。やっぱり誰にも似ておられないというところがあると思うので。なにより読んでいて幸せな気持ちになります。私は最先端のものを読むと疲れを感じる方ですが、そういう読む疲れが全くないのに今ものすごいことをされたんじゃないかっていう驚きがあって楽しみでいつも拝読していますね。
津村記久子さんもすごくファンです。大好きです。津村さんの小説って一度読んでから同じ作品をもう一回あたまから読んでしまう。自分でもなんでなのかわからないですけど。一回読んであそこが面白かったっていうのをわかってもう一回読みたい。『工場』の書評を書いてくださったこともあって、織田作之助賞の時は授業式にも来てくださったんですよ。すごく嬉しかったんです。嬉しすぎてほとんど話ができなかったんですけど。
多和田葉子さんも好きです。たまたま私の新人賞受賞作が載った『新潮』に作品が掲載されていて、これを私の80いくつの祖母が孫が載っているからと言って、一生懸命、全部読んでくれたんですよ。文芸誌を一冊。それで「あの白くまが出てくるの が良かったわ」って言っていて、確かに面白いよねってびっくりしたんですけど。
磯崎憲一郎さんはデビュー作「肝心の子供」 の時に、これはとんでもないことになったというか、私はなにを読んだんだろうって気持ちになりました。これが純文学の雑誌に載っているということが良い悪いじゃなくて衝撃的というか。もちろんとても面白かったですし。
津村記久子さんもすごくファンです。大好きです。津村さんの小説って一度読んでから同じ作品をもう一回あたまから読んでしまう。自分でもなんでなのかわからないですけど。一回読んであそこが面白かったっていうのをわかってもう一回読みたい。『工場』の書評を書いてくださったこともあって、織田作之助賞の時は授業式にも来てくださったんですよ。すごく嬉しかったんです。嬉しすぎてほとんど話ができなかったんですけど。
多和田葉子さんも好きです。たまたま私の新人賞受賞作が載った『新潮』に作品が掲載されていて、これを私の80いくつの祖母が孫が載っているからと言って、一生懸命、全部読んでくれたんですよ。文芸誌を一冊。それで「あの白くまが出てくるの が良かったわ」って言っていて、確かに面白いよねってびっくりしたんですけど。
磯崎憲一郎さんはデビュー作「肝心の子供」 の時に、これはとんでもないことになったというか、私はなにを読んだんだろうって気持ちになりました。これが純文学の雑誌に載っているということが良い悪いじゃなくて衝撃的というか。もちろんとても面白かったですし。
Y 確か礒崎さんは金井美恵子の文庫の解説
でも絵画的に小説を書くということについて書かれていたけど、それをみなさんはどのように考えますか。
―磯崎さんが書いていたこととはズレますが、絵画的な描写というのは全体を俯瞰できるような情景を描くという意味もあるのではないかと思います。
O 私は俯瞰じゃなくて、這いつくばって虫眼鏡で見るのをやろうとしているのかもしれません。
―ミルハウザー的な?
O それができたら最高に素敵だと思います。
―最近、『エドウィン・マルハウス』
文庫化しましたね。Y 本当にあれはいい文章です。
―お子様に今どんな本を読んでいたり、お子様はどんな本が好きだったりされますか。
O オーソドックスに『からすのパンやさん』山村浩二が絵を書いた『くだものだもの』 や『おかしなおかし』 、すごく好きなんですね。定番の『ぐりとぐら』 や『やこうれっしゃ』 などのこどものともシリーズ も読んでいます。
うちの子、図鑑が好きで、元々私が持っていたものと子ども用に買い足したものがあって、元から持っていたものは子供向きじゃなくて大人が本当に昆虫採集のときに持っていくような小さい版に写真と説明がびっしりみたいなやつなんですけど、そういうのも見てすごい質問してくるんです。ムラサキトビムシ っていう、私も知らないような虫が載ってるのをみつけてきて「ムラサキトビムシはどんなご飯を食べるの?」って。しょうがないから検索して、きのこを食べるムラサキトビムシっていう画像なんかをよく一緒に見ています。
や、それから
うちの子、図鑑が好きで、元々私が持っていたものと子ども用に買い足したものがあって、元から持っていたものは子供向きじゃなくて大人が本当に昆虫採集のときに持っていくような小さい版に写真と説明がびっしりみたいなやつなんですけど、そういうのも見てすごい質問してくるんです。ムラサキトビムシ っていう、私も知らないような虫が載ってるのをみつけてきて「ムラサキトビムシはどんなご飯を食べるの?」って。しょうがないから検索して、きのこを食べるムラサキトビムシっていう画像なんかをよく一緒に見ています。
―最後に小説家を目指している人に向けてなにかアドバイスいただけませんか。
O 偉そうに言えた立場ではないんですけども、自分がやってよかったなというのは、声に出して読むことです。すごく簡単で、かつ効果的だと思います。新人賞だったら変な話、応募までにやれることを全部やるといっても、なにやっていいかわからないじゃないですか。一生懸命自分が面白いと思っていること書いているわけですし。でも、そういう時に声に出して読むと、他者として小説が耳に入ってくる。それによって小説が自分の手から離れてくれると思うんですよ。上手くいっているところって心地いいし、そういうところがあれば先に進めると思うし、そこで反対に鬱々ってなるんだったら、それを取り除く作業を短い範囲で繰り返していけば、比較的回り道せずに良いものになるんじゃないかと思います。今でも全部音読します。早く次の作品を書いて書きながら快楽を得て、そして音読して自分でもよしと思って、それを世に出したいです。書くのは楽しいですよね、楽しいのが一番、大事です。
2016.06.26 広島市内にて
2016年7月28日、全国の書店の本棚に『穴』の文庫が並んだ。文庫を愛する小山田さんの念願がついに結実した。解説を書くのは筆者が敬愛する笙野頼子さん。ちょうど私たちがインタビューをした日に笙野さんの原稿が出版社経由で届いたらしかった。
小説について語る小山田さんは真剣そのもの。読み書きの楽しさや苦労を、率直に想いのままに話されていた。夫であるYさんのお話からも小説に対する愛が強く感じられた。
またとないご夫妻の魅力に私たちは興奮し、『穴』の出版前夜感にワクワクした。
この記事で少しでも伝われば嬉しい。