photo by 藤田和美

Introduction
詩を詠う、インターネットを舞台に、イメージするのは渋谷交差点。
絶え間なく行き交い続けるわたしとあなたとだれかの、その微かな共有空間はけれども確かな想像の一歩となってゆく。
十の詩人が織り成す巡り合わせのポエトリーリーディング企画。

 

静けさ、遠方より。   ふるたたいち

 

 

始まりの凱歌

昼下がりの戦火

ここぞとばかりに暴れ出す。

目的は色で示されるが

その提示を待たずして

機械人形よろしく

何事かの傀儡

怪奇な紋様を描き出す動向。

 

彼らに委ねられたものがあるとすれば、

彼女らに神託された言があるとすれば。

スクランブルが交差していく

スクランブルで交錯していく。

お足元にはご注意ください。

 

お決まりの恋歌

夕涼みに蝶が

藍色の帳、飾り付ける。

目的は色で示されるが

そのテーマは時として

天体観測よろしく

幾度と無く明滅

正面衝突して生まれる破壊と衝動

愛と言う愛は

斯く騙られる。

 

彼らが祈り果てるその刹那にこそ

彼女らが抱き育てるその胚芽にこそ。

スクランブルに連鎖していく

スクランブルを踏破していく。

お足元にはご注意ください。

 

やがて

レイトショーを閃光が終わらせ

讃えて、喝采の残響が

朝靄に横たわるスクランブルに波打って

スクランブルは交差していく。

 

 

 

 

 

Author profile
ふるたたいち

1985年生まれ。島根県出身。帰阪、帰根を繰り返し今に至る。
生き様を詩人でありたいと請い願い、言葉に翻弄され続ける日々を送っている。