photo by 藤田和美

Introduction
詩を詠う、インターネットを舞台に、イメージするのは渋谷交差点。
絶え間なく行き交い続けるわたしとあなたとだれかの、その微かな共有空間はけれども確かな想像の一歩となってゆく。
十の詩人が織り成す巡り合わせのポエトリーリーディング企画。

 

 

プロローグ   田辺尚

 

 

————きみの顔をみるのはいつになるだろうか

 

 

感電死を夢見てから何分たった?

深夜にも叩いているキーボードだが

ふりかえってみれば

はじまりはまだほんのり濡れて

はねかえった髪先にかすったぐらいだったのかもしれない

 

 

こぼれず溶けていく夜明けにフルスイング

夢の遠心力

夢の影も

夢の重力もふりきって

しずかにふくらんでいく町へ

ゲンカイをまた折り紙にして飛ばすような

縦横が夢精した世界

光の、

まぶたの

むこう

川へ

(————オレ、オレ、俺たちの死んだあとは!)

落ち合うための流れにむかって

とがった指先からとぶよ

舞台裏などはない

眩しい朝日でひたひたになる

マブタノムコウガワヘ

光のダムへ!

 

 

きみと感電詩

 

 

 

 

 

Author profile

1988年生まれ。高知県出身。アノムラ(anomura)のメンバー。

朗読:衣川茉李
ミキシング:柳井未奈人(やないみなと)
1990年生まれ東京在住。シンセサイザーを弾いて作曲する。テクノポップを始め、ニューウェーブ、パンクなどのオリジナル楽曲を多数ネットにUPする。
TwitterID: @midorimado
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